今回は、元LEVI’S(リーバイス)のデザイナー前村拓実様が手がける、服を通して社会と未来に貢献するデニムブランドAUTHEN(オーセン)様にインタビュー。
ブランドコンセプトからものづくりへのこだわりについてまで、詳しくお話しをお伺いしました。ぜひご覧になってください!
より良い未来を、デザインの力で
私はアメリカのカリフォルニア州で約10年間、香港で2年間とLEVI’S(リーバイス)でデザイナーとして経験を積んできました。現在も海外ブランドや、国内大手企業のデザインに個人として携わるなど、アパレル業界には通算約20年間、様々な形で関わっています。
AUTHEN(オーセン)は、日本に帰国後の2022年4月に「服を通して社会と未来に貢献するブランドを立ち上げたい」という想いで設立したブランドで「TIMELESS, WASTELESS, BORDERLESS」をコンセプトに掲げています。
日本の職人技術に支えられた品質の高さと、時代を超えて長く愛されるデザイン、そして環境に配慮した素材と製法で作る定番商品や、古着を活用したアップサイクリング商品であらゆる人に寄り添う服作りを手がけています。私たちは、これらの理念とサービスを通して、次世代の「定番」となるアイテムとサスティナブルなライフスタイルを提案しています。
定番」となるアイテムを
世界中で、ファストファッションの大量生産、大量廃棄が問題視されていますが、日本をはじめアジア全体では特にサスティナブルへの取り組みや認識が遅れているという印象です。アジアはトレンドを意識したものばかりが売れる傾向ですが、その他の国はシンプルなデザインで長く着用できるものに対して価値を見出す方が多いと感じましたね。カリフォルニアではサスティナブルを軸にしたブランドが多く存在していたり、ヨーロッパでは衣類廃棄に関する法も整備されつつあります。
そういった背景から、ブランド名のAUTHEN(オーセン)は、英語のauthenticに由来していて、普遍的なもの、「定番」となるものを作っていきたい、シンプルで品質の良い物を長く着て頂きたい、と言う想いが込められています。
日本発のブランドAUTHEN(オーセン)の商品を通して、国内でも「シンプルで上質なものを長く着る」という価値観を広めていきたいですし、私たちの商品が、お客様一人一人の「定番」となり、長く愛用頂ければ嬉しいですね。
2つのカルチャーを融合
日本にいるとあまり実感がわかないですが、私自身海外のマーケットで長期間働いていた分、日本製は世界中から高く評価されていると認識しています。デニムをはじめ、職人技術に支えられた品質の高さはもちろん、細部のデザインまで、世界に誇れるものが多いんです。
一方、私自身が生活していたカリフォルニアはデニム発祥の地。日本にはない魅力がたくさん詰まった場所です。またアメリカから日本は極東にあたることから、Far East(ファーイースト)とも呼ばれ、その技術や品質面からMADE IN JAPAN(日本製)は高く評価されています。
この2つの文化を合わせるとおもしろいものができるのではないかと考え、「日本とカリフォルニアのカルチャーを融合したスタイル、FAR EAST CALIFORNIA」というのをスタイルのテーマにしています。具体的には、日本製のデニムに70年代のカリフォルニアを意識したパッチワークや、Tシャツにサイケデリックなデザインを取り入れたり、デザインの一部をカリフォルニアのデザイナーに描いてもらっている商品もあります。
デニムが主軸のブランドなので、カジュアルなライフスタイルに合うかどうかも意識しつつ、これからも2つのカルチャーを自分なりにミックスさせ、定番品でありながらユニークなアイディアを取り入れた商品も多く展開していきたいですね。
新たに価値を与えるものづくり
こだわりは素材選びから
AUTHEN(オーセン)では無駄になっているものに、どう新しい価値を与えるかということを大切にしています。また弊社オリジナルのリサイクルデニムは、廃棄されたデニムを分解し反毛して作り上げた再生糸を使い、カイハラデニムという日本有数の技術を持つ工場と共同で開発した12.5OZのオリジナル生地を採用。糸、染色、紡績を通してデニム作りに循環する製造プロセスを積極的に取り込み、環境負荷の軽減に貢献し、同時に高い品質を確立した次世代の定番となるデニムを開発しています。
またトップスなどには、オーガニックコットンあるいは未認証ながら持続可能な方法で栽培されるコットンを使用しています。中でも一部の貴重なオーガニックコットンは遺伝子組み換えをおこなっていない有機種子から栽培しその栽培プロセスにおいても合成肥料を必要としない、世界のコットンのうちわずか1%の供給量とされています。
またアパレル生産工場などで年間約0.5%もでている不良在庫(B品)が発生します。国内でも大きな工場だと数千本から数万本単位になり、その不良在庫を再利用してパッチワーク素材も作っていたりするなど、地球環境とそこに住む人々の健康に配慮した素材選びをしています。
環境負担を考慮したプロセス
AUTHEN(オーセン)が大切にしているのは、品質や快適性を妥協することなく、環境負荷を軽減した生産背景での物作りです。最先端のテクノロジーと伝統的な日本の技術を活用しながら、より少ない化学薬品使用量、エネルギー使用量、水の使用量を実現しています。
染色過程では、濃色と大きな芯の色が特徴で当たりが出やすいにも関わらず、色落ちや汚染が少なく、製品洗い時の時間短縮や排水負荷軽減へ貢献するカイハラ独自の染色技術「D-SPEC ECO」を採用。染色工程の洗浄水リサイクルにより40%節水、また洗浄条件(絞り、温度、時間など)を解析し綿糸に最適化することで水の洗浄効果を最大限に引き出し、化学薬品使用量を50%削減しています。
近年、大手企業は早く安く生産することに特化している傾向ですが、耐久性のある無縫製の編み方や水を使わないレーザー加工など、環境にも配慮した様々な手法やユニークなデザインがあること自体も、今後日本から世界へ広めていければと思います。
メッセージが込められたデザイン
ファッションを通してより良い環境や未来を築いていきたいという願いから、「ONE DAY OR DAY ONE(始めるなら今日から)」「RESPECT OUR PLANET(地球をリスペクトしよう)」とシンプルなテキストの入った定番のTシャツなど、私たちからお客様、そしてその先の社会へ、メッセージを込めた商品も展開しています。
このような商品が、一人一人のお客様にとって、地球環境について考えるきっかけになってくれれば嬉しいですね。
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