繊維・アパレル・ファッション業界の在庫処分・廃棄問題にSDGs視点で取り組む、B2Bマッチングプラットフォーム「Smasell(スマセル)」のブログメディア
  • 2019.05.27

大量廃棄される衣類の現実〜アパレル業界の闇と、改善へ踏み出した企業の新たな取り組み〜

明るみになった「衣類在庫廃棄」の問題 私たちの生活に必要不可欠な「衣類」。近年、その衣類の過剰在庫問題に注目が集まっています。売れ残る衣類は10億点を超え、繊維商品の廃棄量は年間 8000 万トン以上になるといわれています。 この問題への関心が高まったきっかけの一つは、2018年7月に発表された、イギリスの高級ブランド「バーバリー」の決算報告でしょう。そこでは、バーバリーが3700万ドル相当(約42億円)の売れ残り商品を焼却処分していたことが明らかになりました。 社会全体としてエコロジーやリサイクルが謳われている中、なぜアパレル業界では大量の衣類が廃棄されるのでしょうか。 発生する過剰在庫 大量の衣類が廃棄される原因として、メーカーが過剰に在庫を抱えてしまっている問題があげられます。 なぜそのような事態が起きてしまっているのでしょうか。 業界の構造の問題 衣類が私たちの手元に届くまでに、実は非常に分業化された工程を経ています。衣類は、元を辿れば繊維から始まり、染色、織布、縫製という工程を経て、アパレルメーカー、小売店へと流れていきます。 この工程ごとに、仕入れや生産の最小単位が設定されているのですが、その最小単位というのは、必ずしも消費者や小売店が求める単位ではなく、基本的には小売店が望む単位よりも大きめに設定されています。そのために、各工程で必ず不良在庫が生み出されているのです。 主流となった大量生産 バブル崩壊をきっかけに、アパレル業界は続々と海外へ工場を移転し、単価の安い製品を大量に作る方向へとシフトチェンジしました。 さらに、2000年代半ばから勢力を伸ばし始めたファストファッションに対抗すべく、既存のアパレル企業が低価格帯のブランド立ち上げに乗り出したことも、大量生産の流れに拍車をかけています。増えた生産量と消費量のバランスが取れていないために、在庫が膨らみ続けているのです。 販売シーズンの細分化 以前は春夏秋冬の4シーズンで展開されていた衣類ですが、現在ではそのシーズンが倍の8シーズンに細分化され、売れ行きのメドを立てるのが難しくなってきています。 また、トレンドも目まぐるしく変化するため、衣類の消費期限が短く、そのシーズンで売れ残った衣類が、過剰在庫に直結しているのです。   過剰在庫、そして廃棄へ そうして発生した過剰在庫は、さまざまな理由のために、消費者の手に渡ることなく廃棄されていきます。なぜなのでしょうか。 ブランドステータスの維持 「余った在庫はセールなどの割引で販売すればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、在庫を安売りすることは、ブランドステータスの低下につながるおそれがあります。 各ブランド、とくに高価格帯のブランドにとって、これは絶対に避けなければならない、深刻な問題です。そのため、売れ残った衣類を割引で販売せず、廃棄してしまうということが起きています。 厳しい品質基準 衣類が店頭に並ぶ前に、各衣服は品質検査を受けるのですが、この品質基準が年々厳しくなっているといわれています。 実は、この品質基準があまりにも厳しいため、返品された衣類の中には、原因がわからないものも少なくないそうです。この厳しすぎる品質基準も、市場に出ることなく廃棄される衣類の増加に繋がっているといえるでしょう。   環境への影響 衣類の大量生産と大量廃棄は、作る過程と廃棄の過程、双方ともに環境に深刻な影響を及ぼしています。 農薬の使用 衣類の素材として約3割を占める綿は、世界の農地の割合でいえば、約3%ほどです。しかしそのわずかな土地で、全殺虫剤の16%、全除草剤の7%が使用されています(注1)。こうした農薬の影響により、吐き気やガンなどの健康被害に悩まされる農家が多いそうです。 水質汚染 染色に使用される重金属や環境ホルモンなどの化学物質が川や海を汚染し、近隣地域に住む人々の飲み水に影響を及ぼしています。淡水汚染の20%は織物加工と染色が原因という調査結果も出ているのです(注2)。 水の大量使用 Tシャツ1枚を作るのために、なんと約3000リットル弱もの水が使用されています。綿花栽培でまず大量の水を必要とし(栽培地にもよりますが、1キロの綿をつくるのに1万~2万リットルの水が必要。)、その後の染色でも多くの水を必要とします。全生産プロセスで使用する水の85%が染色で使われ、1キロの繊維を染めるのに必要な水の量は、100~500リットルと言われています。 マイクロプラスチック マイクロプラスチックとは、5ミリ以下のプラスチックのことです。衣類の約6割が、ポリエステルやナイロンといった化繊で作られています。これが洗濯のたびに細かな繊維となって下水へ流れるのですが、細かすぎる繊維は下水処理施設では捉えきれず、海へと流れていくことが懸念されています。流れ出た繊維が魚の体内に入り、その魚を食べることで、最終的には私たちの身体にプラスチックを取り込んでしまうことにつながるからです。 Co2の排出 衣類を廃棄、焼却処分する際には、当然燃やした分だけの有毒ガスが発生します。実は、衣類の製造から販売、消費から廃棄に至るアパレル業界が排出するCo2の量は、石油産業に次ぐ第2位になっているのです 大量のCo2排泄が地球温暖化につながること、そしてその温暖化が地球へと及ぼす影響は、ここでわざわざ言うまでもありませんね。   各企業の取り組み さまざまな環境への影響が懸念される今、さまざまな企業が新しい取り組みを始めています。 その取り組み方は、大きく2つに分けられます。 在庫を生かす取り組み WEFABRIK 私たち株式会社WEFABRIKは、企業が抱える在庫を企業間で売買することができるBtoBのフリマサイト「SMASELL(スマセル)」を運営している企業です。 匿名で製品を出品することができるため、ブランドステータスを落とさないという点が評価を得ています。また、既製品のほかに生地も販売されているため、ハンドメイド作家の方にも多く利用されていることが特徴です。 DoLuck 株式会社DoLuckha(ドゥーラック)は、アパレルをはじめとしたさまざまなジャンルの在庫処分・買取業務のほか、販売コンサルティング業務も行なっている企業です。 12店舗の直営店を運営していることが最大の特徴で、これにより素早い在庫処分と、現金化を実現させています。ユニークなお店作りを心がけていることが謳われており、公式ホームーページでは、店舗ごとのブログを読むことができます。 直営店以外でも、アウトレットショップやネットショップを利用した、幅広い販路を確保しています。 BEAMS COUTURE BEAMS COUTURE(ビームス クチュール)は、人気ブランドの一つであるBEAMS(ビームス)が新しく展開をはじめたブランドです。 ビームスの在庫商品に、手仕事で新たなデザインや縫製を加え、リメイクされた衣類が販売されています。手間賃がかかるので一般的には踏み切れない試みですが、ビームスの高いブランド力があるがゆえに、チャレンジできる取り組みといえます。 また、さまざまなジャンルのクリエイターやブランドとのコラボレーションにも積極的で、Ziplocとのコラボはとくに話題となりました。今度の動向にも、注目が集められています。 大量生産を防ぐ取り組み Viscotecs Viscotecs(ビスコテックス)とは、世界初のパーソナルオーダーブランドです。総合繊維メーカーであるセーレン株式会社が新たに踏み出したブランドで、現在は東京、大阪、名古屋、福井に店舗を構えています。 店頭にはサンプルのみ置いてあり、消費者は等身大モニターとタブレットを使用してバーチャル試着を行うという、最先端のシステムが特徴です。 注文を受けてから生産の生産は、ムダな在庫の発生を抑制するため、まさに衣類の在庫問題に一石を投じる試みです。 オーダーメイドのため、すぐに消費者の手に渡らない点が難点ですが、注文を受けてから完成させるまでの時間をいかに短くできるか、今もなお研究が重ねられています。 ニューラルポケット株式会社 ニューラルポケット株式会社は、AIによる解析でデータを取得し、消費者のトレンドを分析、可視化に繋げている企業です。 SNSをはじめ、ネット上に公開されているファッションに関する写真を収集し、AIにより分析するファッショントレンド解析サービスによって、高い精度でのトレンド予測が可能になりました。 これまでは人間が感覚で行ってきたトレンド分析を、こうしてデジタルを使って行うのは非常に画期的な試みで、各業界から注目が集められています。   私たちにできること いかがでしたか?アパレル業界における、衣類の在庫、廃棄問題は、なかなか一筋縄ではいかないことが明らかになりました。私たち消費者にできることも、まだまだ少ないかもしれません。 しかし、現状の問題を把握し、今後の動向に目を向けることは、非常に大切なことです。 私たちで改善できることがあれば、できるかぎり協力し、よりよい社会の実現へ繋げられるといいですね。   注1、 平成22年2月 独立行政法人 中小企業基盤整備機構「繊維製品3R関連調査事業」報告書より引用 注2、Raybin, A (2009), Water pollution and textiles industry as cited in The Sustainable Academy (SFA) and The Global Leadership Award […]

  • 2019.05.27

弊社福屋が「ファッションとサスティナブル」セミナーに登壇します。

2019年6月6日に、株式会社OTS様が主催される「ファッションとサスティナブル」セミナーに、弊社代表福屋が登壇します。 セミナーのテーマは「廃棄在庫の削減」で、これからのファッション企業の売り方や在庫のあり方、さらには、国内だけでなく海外を含めた滞留在庫の循環方法について、「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)や「アパレル・サバイバル」(同)を出版された、有限会社ディマンドワークス代表 斎藤氏ら他2名と基調講演を行います。

  • 2019.04.22

ゴールデンウィーク休業に伴う、決済対応とお問合せについて

いつもスマセルをご利用いただき誠にありがとうございます。 誠に勝手ながら下記ゴールデンウィーク期間中、決済の対応とお問い合わせ窓口(スマセルカスタマーサポート全般業務を含む)について対応を停止させていただきます。 【休業期間】 2019年4月27日(土)から5月6日(月)

  • 2019.04.19

株式会社ウィファブリック含むサステイナビリティ特化型ベンチャー6社と東京建物株式会社が「City Lab Ventures」始動

アパレル在庫の企業間マッチングプラットフォーム「スマセル」を開発・運営する株式会社ウィファブリック(代表取締役社長:福屋 剛、本社:大阪市西区)は、東京建物株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 社長執行役員 野村 均、以下「東京建物」)が東京・京橋で運営する「City Lab TOKYO(シティラボ東京)」において、サステイナビリティ特化型ベンチャー6社を発起人とするベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」を始動しました。

スマセル×高蔵染 アップサイクルストア開催

不動在庫として企業が残したハイブランド商品を消費者が選び、その場で染色により再生させるイベントを4社が共同開催 MobilExScoool合同会社(代表:町田 佳路)は、株式会社ウィファブリックとともに、ウィファブリックが運営するファッション業界の企業間フリマサイト「SMASELL(スマセル)」が掲げる「廃棄のない循環型社会の創造」の理念に共感した2社、高蔵染アーティスト大下倉和彦(株式会社高蔵)、株式会社ロックアップと共同で「スマセル×高蔵染(たかくらぞめ) アップサイクルストア」を2/10、2/11に東京・大森で開催いたします。

  • 2019.02.09

アッシュ・ペー・フランス株式会社 エシカルプロデューサー 坂口 真生様インタビュー

アッシュ・ペー・フランス株式会社 エシカルプロデューサー 坂口 真生 様 2003年アッシュ・ペー・フランスにプレスとして入社。セレクトショップ、アート事業、Eコマースの立上げに参画。2013年日本最大のファッション・デザイン合同展示会「rooms」で日本初となるエシカルをテーマとしたエリアを立上げる。その後、銀座三越、ルミネ、東急百貨店、阪急百貨店など商業施設にてエシカルキャンペーンを企画運営する。2017年6月、エシカル事業部を立上げ同事業部ディレクターに就任。日本エシカル推進協議会発起人・アドバイザー。

  • 2019.02.08

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 環境戦略アドバイザリー部 チーフ環境・社会(ES)ストラテジスト 吉高まり様インタビュー

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 環境戦略アドバイザリー部 チーフ環境・社会(ES)ストラテジスト 慶應義塾大学大学院政策メディア研究科非常勤講師 吉高 まり 様 明治大学法学部卒業後、IBM系コンピュータ会社に入社。

カスガアパレル株式会社 代表 今井浩輔様インタビュー

カスガアパレル株式会社 代表者 今井 浩輔 様 Q. SMASELLを使ってみて初めに感じられたことは何ですか? 初めはやってみた半信半疑でやってみたんです。今までもネットで余った生地を売ったことがあって、実際あまり売れた体験が無かったんです。それがSMASELLに掲載したらすぐ売れたので、正直驚きでした。見てるんだな、と。

  • 2019.02.06

株式会社ヒューマンフォーラム 代表取締役社長 岩崎仁志様インタビュー

株式会社ヒューマンフォーラム 代表取締役社長 岩崎 仁志 様 繊維業界の在庫問題をなくすにはどうすればいいと思いますか? 僕は、作りすぎの問題だと思っていて、在庫は結果じゃないですか。(在庫は)結果なので、まずは作りすぎの問題を何とかしたいな。

  • 2019.02.05

瀧定大阪株式会社代表取締役社長 兼 スタイレム株式会社代表取締役会長 瀧隆太様インタビュー

瀧定大阪株式会社 代表取締役社長 スタイレム株式会社 代表取締役会長 瀧 隆太 様 繊維・ファッション製品の廃棄に関してどう思われますか? 結構な量の廃棄があるとは聞いています。地球的な規模での持続性、サスティナビリティということを考えても、消費されないままに廃棄されるものが大量に存在するということは極力なくしていくべきだと思います。

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