今回は、ファッションからインテリアに至るまで、持続可能なものづくりに精力的に取り組まれているAPARTMENT LTD.代表 坂下 建二様にインタビュー。
UNITED ARROWS GREEN LABEL RELAXING(ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング)のディレクターとして持続可能性の実現に向けて、製品の素材から製造工程に至るまで国内外の多岐にわたる知見を高め、独立という新たなステージに挑戦される今の姿を追いました。ぜひご覧になってください。
株式会社アパートメントに込められた想い
独立する前はUNITED ARROWS GREEN LABEL RELAXING(ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング)のディレクターとして持続可能なファッションの追求をしてきましたが、そのような商品を求める方って、日常のあらゆる場面で感度が高いと考えています。
なので、洋服だけでなく、一人ひとりのライフワーク自体に寄り添った多様な商品を展開していきたいという想いから、2020年に株式会社アパートメントを設立しました。
作る上での”素材”にこだわるだけでなく、労働環境やエネルギーなども含めた”作る過程”を考慮した持続可能なものづくりを色々な企業・団体の方としていきたいと考えています。
今一緒にお仕事をさせていただいている企業様ともそういった観点から向き合っています。
例えば、残反などただ残ってしまった生地としては価値が無くとも、洋服になった時点で価値になるんですよね。そのように形を変えることで新しい価値が生まれるモノに取り組んだり、生み出すだけでなく、その服を長く使っていただけるように服のお医者さんとしてメンテナンスができる場を用意していきたいと考えています。
また、USEDの服を分解して別の洋服にしたり、全く異なる車のシートやテーブルやチェアにできないかと取り組んでいたりもします。
この様な自由な発想で共創しながら生活文化を創造する事を、株式会社アパートメントの理念としています。
ファクトリーブランドEYCK(エイク)誕生
それらの活動の一つとして、現在「EYCK(エイク)」というブランドの立ち上げにも関わり、デザインやディレクションを自ら行っています。
EYCK(エイク)というブランド名は、EMOTION(感情)Yarn(糸)Craft(技術)Knot(結ぶ)の頭文字をとっていて、糸と技術を結びつけて感情を動かし伝統を重んじながらも、流れるシルエットで軽やかさを持ち合わせた世界に一つしかない上質なオリジナル素材を使用したコレクションを展開しています。
ものづくりの現場から提案するファクトリーブランドで、日本最大の織物産地である尾州で、長年ものづくりをしている素材メーカーが手掛けた世界に誇る技術と伝統により製織、加工したオリジナルテキスタイルを使用しているところが特徴です。ファクトリーの技術とクリエイターチームの融合により、新しい価値を創造し続けることを大切に「上質でシンプルな日常着」であり「長く愛される洋服」を追求しています。
素材に適した場所で持続可能なものづくりを
株式会社アパートメントでは、今後も日本でものづくりをしていきたいと思っています。日本各地の素材やモノに応じ最適な場所を選んでいきたいですし、それがいいものを作るために必要なことだと考えています。
例えばEYCK(エイク)の場合、世界の様々な場所にある織物工場では、主にテキスタイル商品になるまでの生産工程(紡績・撚糸・染色・織布・整理・補修)を一貫して同一工場内にて行っている場合が多いのですが、尾州産地ではテキスタイル商品になるまでの生産工程を、数ある加工工場でそれぞれの特異技術を活かした加工の掛け合わせにより商品を作り上げています。その加工工程の掛け合わせが無数にあることから、独創性の高い商品デザインを小ロットから作成することができています。
しかし近年、価格競争により、海外の商品との差別化が難しくなり、尾州産地でのものづくりは衰退傾向にあります。テキスタイルの生産自体ができなくなる可能性もあり、永年培ってきたこの地ならではのものづくりが途絶えてしまうかもしれません。
このような状況を少しでも改善するためにも、尾州産地のテキスタイルを私たちなりの形でプロモーションし、この地で生産されるものやものづくりを将来にわたり発展させていければと考えています。
サスティナブルな循環を生み出したい
私自身、UNITED ARROWS GREEN LABEL RELAXING(ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング)当時から、生地だけでなく、素材一つひとつにおいても生産背景からこだわりをもって選定するなど、環境や持続可能性を意識してものづくりを行ってきました。
今後は、株式会社アパートメントを通して、美容師さんのための制服を考えたり、古着屋さんと取り組んだり、廃棄になる古着を分解し別モノに変えることで価値を与えるなど、新しいことも考案し挑戦していく予定です。衣類をはじめ、姿形を変えることでもう一度魂を蘇らせ、新しい価値を与えることで、サスティナブルな循環を生み出していければ嬉しいですね。
SMASELL(スマセル)について
SMASELL(スマセル)の取り組みは単純にすごいなと思っています。購入した際にCO2削減量もグラム単位で表示されるので、一人ひとりの環境への意識が高まるきっかけにもなるかと思います。
SMASELL(スマセル)と一緒にこれから色々な取り組みも進めていければ嬉しいですね。
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