皆さんは、洋服を買いたいと思ったのに在庫切れで買えなかった!そんな悔しい思いをしたことはないでしょうか?
なぜ在庫切れになるのか?そもそも在庫とは何なのか?
今回は、在庫の管理方法についてのベースである「在庫回転率」について調べてみました
アパレルの在庫回転率とは何か?
アパレルの在庫回転率について触れる前に、まず在庫とは何か、改めて確認してみましょう。
庫とは「企業が保有している商品」つまり、会社が自社の倉庫に保有しておかなければならない商品のことです。
テレビやインターネットなどで、倉庫いっぱいになった段ボールの山の画像を見たことはないでしょうか?
企業にとって、在庫を抱えることは非常に多くの費用がかかり、また大きなリスクも抱えています。たとえば、洋服を保有している期間は、その保有場所を借りておくための場所代が必要です。アパレルの販売店の多くは、人口の多く流行に敏感な都市部に集中しており、洋服という流行に敏感なアイテムは、販売において良い立地を確保するひつようがあります。しかしそのため、人口の多い都市部では土地代も非常に高いという問題にあたります。
一方で、土地代ばかりに気を取られて、土地代の安い郊外に倉庫を設置してしまうと、都市部に運ぶ時間や輸送費が多くかかってしまうことになります。
また、在庫を置いている倉庫が火災や水害などで被害を被ってしまうと、在庫がダメージをうけ、商品として成り立たなくなってしまいます。日本は台風や地震などの災害が起きる可能性が非常に高いため、企業はその在庫品に保険をかけておく必要もあります。しかしその保険にもまた、保険料という形で少なくはないお金がかかってしまうのです。
さらに、洋服を作る際にも、材料費や人件費などをはじめとしたさまざまな費用がかかるのは自明で、万が一その商品が売れなければ、企業側に収入が入らず、ただただ製作にかかった費用とその商品の在庫管理によるコストが、負債として積み重なっていった結果、商売として成り立たなくなるだけにとどまらず、最悪の場合、企業そのものが倒産してしまいます。
アパレルの経営にとって重要な「在庫回転率」とは?
さて、在庫について簡単ながら整理してみたところで、あらためて、在庫回転率について情報を整理してみましょう。
一言でいえば、在庫回転率とは「一定期間の出庫高/一定期間の平均在庫高」です。在庫回転率はどのように算出するのでしょうか?
出庫高とは、「その製品が一定期間にどれだけ売れているのか」ということであり、また、平均在庫高とは「その製品の在庫は何円相当なのか」ということです。
また、「在庫回転率=一定期間の出庫数/一定期間の在庫数」のように、在庫回転率は在庫の「数」に注目して求めることもできます。
それでは、より具体的な数字で見ていきましょう。
たとえば、在庫金額に注目すると、一年間に1500万円の出庫高、つまり在庫品の売価額が150万円だったとすると、在庫回転率は1500万円/150万円=10となり、在庫回転率は10回転となります。
また、在庫の数に注目して計算すると、一年間の出庫在庫数が3000個で、一年間の平均在庫個数が150個であれば、在庫回転率は3000/150=20となり、在庫回転率は20回転となります。
アパレルの在庫回転率の適正はどの程度か
在庫回転率の求め方について学んだところで、気になるのは、アパレルの在庫回転率の適正値についてだと思います。
ここで、在庫回転率が「高すぎた場合」と「低すぎた場合」に、それぞれどのようなリスクがあるのかを考えてみましょう。
在庫回転率が「高すぎた場合」
在庫回転率が高い、つまり売上高に比較して在庫高が少ない場合、客が商品を欲しいと思った際にお客様に対して商品を売ることができず、「商品を売る機会を失うこと=販売ロス」を招いている可能性があります。
在庫回転率が「低すぎた場合」
反対に、在庫回転率が低い、つまり売上高に比較して在庫数が多い場合、商品を「うまく販売しきれない」可能性があります。
アパレル製品には非常に商品の流行が激しく移り変わっていくという特性があります。パソコンやカメラなどの電化製品は、スペックか上がっていくことにより古くなったモデルの商品の売れ行きが悪くなったり、販売価格を抑えなければならないようなことがありますが、アパレル業界でも同様に、季節が外れた商品やトレンドが過ぎた商品は、売れ行きが悪くなってしまいます。
売れ行きが悪いと、在庫を処理するために大幅な値下げなどの対策が必要になり、本来見込んでいた商品販売による利益を大きく下回ってしまうということにもつながってしまいます。季節の変わり目にアパレルショップでよく見かけるセールは、その代表例です。
理想の在庫回転率とは?
洋服の在庫回転率について、厳密に数値を出すのは難しいのですが、理想の在庫回転率は「24回前後」だと言われています。
在庫回転率が24回というのは、およそ「二週間に一回、商品が入れ替わる」ということです。そのため、現代のとても速いサイクルで移り変わっているトレンドにも対応して、商品の製作や販売を行うことができます。
しかし、在庫の回転率を適正な値にするためには、商品ごとに細やかな調整が必要です。たとえば、Tシャツや下着など、比較的大勢の人が使用すると考えられるものは「回転率が上がりやすい」傾向にありますが、オーダーメイド品などの特殊な商品や高価なものでは、在庫回転率が下がってしまうのも自然なことです。
そのため、在庫管理には、商品の売れ行きなどのデータ管理が非常に重要となってきます。
在庫管理のもっとも身近な例はコンビニエンスストアで見ることができます。コンビニのレジ打ちの人が、私たちが商品を購入した際に年齢と性別のボタンを押しているのを見たことはないでしょうか?コンビニは店舗の立地によって、売れる商品や、利用する客の特性や性別、年齢などが異なります。そのため、店舗ごとに売れる商品を把握して、それに応じた商品を入荷し、店ごとに最大限利益を出せるように工夫をしています。
それと同じように、アパレルショップでも、訪れる客の性別や年齢による違いで好みも分かれますし、その地域によって特有のトレンドとなっている商品があるかもしれません。それ以外にも、高級志向な客に対しての販売戦略や、手ごろな値段の洋服でたくさんのコーディネートを組みたいという人に対する販売戦略では、店に置いておくべき商品の価格や数も大きく違ってきます。
そのため、データの分析ツールを取り入れて利用してみるのもまた、在庫回転率を適正な値に近づけるのに大いに役に立つと考えられます。
また、あえて「商品を欲しい」と思っているお客さんたち全員が商品を購入することができないくらい少量で商品を生産することで、お客さんがSNSやブログなどで商品について発信し、その店に対する商品の購買欲求の上昇を図れる、といったように、売れると考えられる商品よりも少量の製品に留める、という戦略も存在します。このようなこともまた在庫回転率の数値が前後したりする原因となっています。
アパレルの在庫回転率とアパレル製品の買われ方との関係
みなさんは洋服を購入するとき、どのような基準で購入しますか?
多くの人は別の種類の服を何枚も買って複数のコーディネートをして生活を送っています。たとえば、トップスだけに注目してもTシャツやワイシャツやポロシャツ、さらにはコットンやシルクやウールのような自然由来の繊維や、ポリエステルやアクリルやナイロンといった化学繊維などの生地によっても、洋服の雰囲気は変わり、個人個人の好みや似合うものに合わせて購入すると思います。
このように、洋服というものは、カメラなどのある一定数の製品に限られて生産されているものとは異なり、非常に多くの種類の製品が生産されているため、在庫回転率などで商品の回転のデータをとっても、将来的な製品販売の指標とするにはデータの母数が足りないケースがあるのかもしれません。
また、その在庫回転率のデータにより商品の生産を進めようとしても、トレンドの移り変わりの影響で、過去の回転率だけを指標に製品生産を行えばいいわけではなく、あらゆるデータや傾向などに意識を向けておく必要がある、非常に難しい業界なのです。
まとめ
今回は在庫の回転率について紹介してきました。
企業にとって在庫を抱えなければならないリスクの大きさや、反対に、販売機会の損失を回避する点から、在庫の管理、その指標となる在庫回転率の大切さについて、すこしご理解いただけたら、幸いです。
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