インタビュー

ゴミ清掃員の視点から衣服ロス(ファッションロス)を考える。マシンガンズ滝沢×ウィファブリック代表福屋 対談

今回は、10年以上もゴミ清掃員を続けるお笑いコンビ「マシンガンズ」滝沢秀一様と弊社代表福屋が対談。
ゴミ清掃員になったきっかけから、ゴミを通して見てきた日本の社会課題、ファッションロスについてまで、幅広く語っていただきました。

ゴミ清掃員から見る今の日本社会

生計を立てるため清掃員に。

福屋:
早速ですが、ゴミ清掃員になられたきっかけから教えてもらえますか?

滝沢:
36歳の時に妻が妊娠し、お笑い芸人だけで生計を立てることが厳しくなってきたので、アルバイトを探したところ、なかなか見つけることができなかったんです。35歳を超えるとアルバイトがないんですよね!もっと早くに知っておきたかった(笑)
そこで、たまたま芸人を辞めた友人の紹介で「ゴミ清掃員」のポジションがあり、組合員として始めてみることにしました。
ですから、最初から環境問題やゴミ清掃に興味があったわけでは全くなかったんですよね。

福屋:
そこから10年も続けてこれたのってすごいですね!大変なこととかなかったですか?

滝沢:
もちろん、暑い日も寒い日も働かないといけないので毎日がハードワークです!熱中症にもなりますし、正直続かないだろうなぁと思っていました。
当初、お笑いを続けるためにだけ働いていたので、清掃員の仕事は全く楽しくなかったですね。

日本一の清掃員を目指して。

福屋:
いつから楽しいと思えるようになったんですか?

滝沢:
清掃員を始めて3年くらい経った時に、「目の前の仕事を一生懸命やって、日本一の清掃員になろう」と決めてからは楽しくなりました!

福屋:
そのきっかけになった出来事ってあるんですか?

滝沢:
お笑いをずっとやってきて「40歳で今更ブレイクすることもないだろうな」とか、色々冷静に考えだしたら、もっと目の前のことに真面目に取り組もうと考えるようになりました。
クレーム対応など、日々の問題に追われていると、正直仕事がしんどくなってしまうのも事実です。でも、分別しない人に腹を立てるのではなく、「なんで彼らは分別しないんだろう?」って考えるようにすればいいのかなって思い始めて。そこから課題の背景に自ら向き合っていくうちにどんどん仕事が楽しくなって、「せっかくやるなら日本一になりたい」と思えるようになりました。

ゴミは社会の”今”を映す鏡。

福屋:
地域によって、でるゴミの種類って違うんですか?

滝沢:
そうですね。お金持ちのエリアはゴミが少なく、一般世帯はゴミが多い印象です。中でも100均の雑貨やおもちゃなどが特に多いですね。安いであろうものが大量に捨てられていて。
中には、まだまだ着られる衣類や新品の靴、袋から出していない自転車、きれいな状態のたこやき器などもあるんです。本当に勿体ない!
コロナ禍以降、「買って溜まったら捨てる」というのが常習化しているような気がします。ファストファッションの衣類廃棄も増えていて、衣類だけで20袋も出されていた方もいました。

福屋:
20袋も?!

滝沢:
僕たちは、上限の袋数までしか回収できないので、シールを貼って置いていくことになるんですが、コロナ禍をきっかけに始まった断捨離ブームの時期は、「こんなにも物で溢れているのか」とびっくりしていました。

福屋:
他に何か10年続けている中で発見はありましたか?

滝沢:
一般世帯からはペットボトルを吸い殻入れにした、分別できないゴミがよくでていますが、お金持ちは健康志向なので、タバコを吸っていない世帯が多いですね。
あとは、10年前だったらロデオボーイ、ワンダーコアなど、フィットネス機器をみんな同じタイミングで購入して一斉に飽きるのか、一気にゴミとして出されています。

福屋:
ゴミからトレンドの動きまで分かってしまうんですね!おもしろい!

滝沢:
同じ地域で暮らす人たちは世帯年収も近しい傾向があるので、ライフスタイルも似ているんです。一般世帯では、瓶の回収日に栄養ドリンクや酒類の缶などが目立ちますが、お金持ち世帯はお酒の瓶や缶などもあまり見かけず、自己投資、一般世帯は消費するものにお金を使っているイメージですね。

福屋:
コロナ禍で目立っていたゴミって他にありますか?

滝沢:
自粛期間中は自宅でお酒を飲む人が増え、レモンサワーの缶が大量に出ていましたね。ゴミって消費したものしか出てこないから、そこから流行っているものが分かるんです。人間は嘘をついてもゴミは嘘をつけないんですよね。

福屋:
10年間ゴミ収集を続けてきて、何か変化は見られましたか?

滝沢:
10年前はペットボトル回収一つにしても、以前はコンビニで買ったお弁当のような見た目が同じような材質に見える容器などを一緒に捨てたり、間違った知識でリサイクルに協力しようとしている方が多かったですが、今では随分とそういったことも減りましたね。
また、今の世代の若い子たちはSDGs教育をしっかり受けているので、環境への意識も高くなってきている気がしますね!

収集されたゴミの行方にも課題が。

福屋:
収集されたゴミはその後、どこに行くのですか?

滝沢:
可燃ゴミはゴミを貯留しておくゴミピットへ行きます。ペットボトルはペットボトル工場へ行き、そこからラベルをはずすなど、細かい作業は全て手作業で行っています。ただしタバコの吸い殻がある場合は、可燃ゴミ扱いとなってしまいます。液体自体回収できないので飲み残しには悩まされていますね!

福屋:
以前、ゴミ処理場にいったが、ほとんど分別されずに入っていました。燃やしたくないが、燃やさざるを得ないものがたくさん入っているんです。この責務をゴミ処理場の方にだけ押し付けるのは間違っていると感じました。
消費者が変わらなければ何もできないが、強要もできないというのが歯がゆい現状ですね。

滝沢:
企業も分別しやすいように作るというのは大切かもしれないですね。モバイルバッテリーやリチウム電池が原因で火災になったりもするので。
アメリカだったら買ったときに「使い終わったらここに送って」という封筒が付いていて、モバイルバッテリー専用の回収方法がしっかり準備されているんです。
一方で、例えば日本の農薬だと「自治体に聞いて」自治体は「農薬会社に聞いて」になっていて、みんながお互いに責任を放棄している状態もあるんです。どこかで何とかしてもらえると思っているところが課題なので、そのあたりの仕組み作りを考えていきたいですね。

福屋:
ゴミの詳しい分別方法とか、そういうことって学校で習ってないし本当に難しいですよね!

滝沢:
パンフレットがあるくらいで、なかなか浸透するのは難しいんです。だからこそ、僕は本を出版したり、イベントや学校登壇、紙芝居で幼児に分かりやすく説明するなど、様々な啓蒙活動を行っています。

福屋:
そのような滝沢さんの活動を通して、より多くの方に正しい知識が伝わっていくといいですね!!

ファッションロスに取り組むウィファブリック

新たな循環を生み出すサービスを。

滝沢さん:
ウィファブリックさんでは、ファッションロスをなくすために何か活動されているんですか?

福屋:
弊社では、廃棄されるはずだった衣類を必要としている方に届けるファッション通販サイトSMASELL(スマセル)を運営しています。
最近は家庭から出る衣類廃棄もなくしたいという想いから、商業施設やアパレルブランドの店舗で、衣類回収BOXの設置を進めていて、そこで回収された商品をSMASELL(スマセル)で再び販売することで、新たな循環を生み出しています。

滝沢:
すごいなぁ!持ってきてくれる人の意識も高いんでしょうね。服一点一点に対してのリスペクトもあっていいですね!

福屋:
仰る通り、持ち込んでくださる方は、そのブランドが好きなので商品を大切に扱っているんです。店舗スタッフとお客さんとの会話のきっかけにもなっているので、これからもこの取り組みは続けていきたいですね!

ファッションスワップパーティーを実施。

滝沢:
他に何か取り組んでいることはあるんですか?

福屋:
今月、ファッションスワップパーティーという物々交換会を大阪のクラブで実施しました。当日はDJが音楽を流し、お酒も飲めるイベントで、約250名、1,000枚以上の衣類の循環が生まれ大盛況でしたよ!

滝沢:
お〜!いいですね!ただ交換するだけでなく、音楽とお酒を楽しみながら、パーティー感覚になっているのがおもしろい。

福屋:
みんな「せっかくだから」と、想像以上にいいものを持ってきてくれていました。自分が大切にしていたエアジョーダンを、おしゃれなスタイリストさんに持って帰ってもらえて「むしろ本望です!」といっていた方もいるんです!
そういったファッションを通しての、人との出会いやコミュニケーションも楽しかったですね。
また東京でもやりますので、ぜひ来てくださいね!

ファッションロスゼロに向けてできること

ゴミとして生まれてきたものは一つもないから。

福屋:
どうやったらファッションロスってなくせると思いますか?

滝沢:
アメリカでは「ラストロング」といって、「愛しているものなら命なくなるまで使う」という思想があります。日本でいったら「勿体ない」という感覚ですね。これが流行ると日本のゴミって減ると思うんです。
服だって同じで、ゴミとして生まれてきたものって一つもないじゃないですか?ゴミだと決めるのは人間自身。
実際にレジ袋も有料化してから、木にひっかかっているのを見ることが減りましたからね!サービスで付けておくとか、何となく買うとか、そういったことじゃなくて、売る側も私たち自身もよく考えて、ものに価値を与え続けることが大事だと思います。

ものにストーリーをのせ、発信していきたい。

滝沢:
ファッション業界に長くいる福屋さんは、どうお考えですか?

福屋:
ものにストーリーをのせ、新たに価値を与えるということが大切だと思っています。私たちはIT企業なので、芸人・アーティスト・ミュージシャンなど業界を超えてとコラボして一緒に発信することで、服一点一点の価値をみんなに再認識してもらいたいですね。
手段は、ファッションスワップパーティーであったり、回収BOXであったり、どんなやり方があってもいいと思っていて、一番伝わりやすい伝え方を選んでやっていけたらと考えています。
また、事業として持続可能かどうかも非常に大切なので、利益を出すということも含め、一緒に仕組みづくりをしていければ嬉しいですね。

滝沢:
みんなで楽しめて、お金が入ってきて、ちょっとでもファッションロスについて考えていけたらいいですよね。
企業も消費者も行政も、みんな一緒にゴミを減らそうとすると、誰かが何かやってくれると考えてしまいがちで、なかなかうまくいかないんです。
それぞれの立場から真剣に考えて行動に起こさない限り、ファッションロスがなくなることはないと思うので、これからもゴミ清掃員の立場から、色々な啓蒙活動に積極的に取り組んでいこうと思います!!


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