繊維・アパレル・ファッション業界の在庫処分・廃棄問題にSDGs視点で取り組む、アパレル卸売・仕入れサイト「SMASELL(スマセル)」のブログメディア

在庫の苦労を解決したい〜僕がSMASELLを始めた理由

在庫の苦労を解決したい〜僕がSMASELLを始めた理由

新卒で繊維商社に入社後、具体的に毎日どんな仕事をしていたのですか?

もともとファッションが好きで、商品企画に携わりたくて入社しました。 当時は、インテリアやギフトを中心に、消費者のみなさんが実際に手にする最終製品の企画・ 生産・販売を担当していました。商品を考え、糸や生地を注文して、工場を探して依頼し、できあがった商品をお客さんの店頭に届けます。 お客さまや消費者のニーズを聞き出して、時代に求められるものを先読みして、企画を考えて かたちにしていくプロセスがとても楽しかったですし、自分が手掛けた商品がヒットしたときは おもしろかったですね。

在庫の苦労を解決したい〜僕が SMASELL を始めた理由 株式会社 WEFABRIK 福屋 剛

好きなことに携わってやりがいのあるお仕事している中で、どうして起業しようと思ったのでしょうか?

糸や生地が、毎日大量に廃棄されること。 上質な素材、職人技を駆使した貴重な素材までも、 廃棄されるしかないものを多々見てきました。それがとにかくもったいないと感じていたんです。

大量の在庫は、いずれ叩き売るか捨てるしかありません。年間 8000 万トンの繊維製品が廃棄処分されているといわれますが、捨てるのもコストがかかります。
商社だけでなく、卸先の問屋などの倉庫にもまた大量に余っているのに、日々新しい素材・商品が生まれます。需要過多な現代経済では、世界中のあらゆるところで余剰在庫の問題が深刻化しています。廃棄される前の、余剰在庫(デッドストック)を貴重な資源と捉え、活用して いきたいと思い、起業しました。

そうした思いを持つようになったきっかけには、なにかあったのですか?

商社に勤務していた当時、商品を販売するだけでなく、在庫を処分するのも仕事の一つでした。 プロパー価格で売れずに余った在庫はまず、低価格で叩き売られます。それでも売れなかった ものは、二束三文で決算前にまとめて処分します。それでも余ったものは、折を見て廃棄に回 すのですが、机の上で「○番〜△番まで焼却」って、品番で紙に書いて、指示を出すんです。 廃棄される様子を見ることはなかったので、感覚的に燃やしているという感覚も罪悪感もなく、 仕事として当たり前のようにやっていました。それが、あるドキュメンタリー番組で、糸や生地 が焼却されている様子を見て、すごくショックを受けたんです。自分がいつもやっていることは、 こういうことなんだって。それで、火がつきましたね。

なにかをゴミとして判断するのは「人」。それ以来、デッドストックはゴミではなく、貴重な資 源として見るようになりました。

「年間 8000 万トンの繊維製品が 廃棄処分されているといわれますが、 捨てるのにもコストがかかります」

在庫の苦労を解決したい〜僕が SMASELL を始めた理由 株式会社 WEFABRIK 福屋 剛

そうした問題が起きる背景には、どういった理由があるのでしょう?

まず、アパレル業界のサプライチェーンがとても複雑なこと。また、現在のファッションビジネ スの体質が理由に挙げられます。アパレル業界のモノの流れは、非常に複雑です。原料が糸になり、生地になり、服になり、店頭に並ぶまでの各段階で、何社もの問屋さんが間に入ります。 どんどん中間マージンが増えて、「本来なら可能な価格」から、3 〜 4 倍もの値段になって店頭に並んでいるのが現状です。

また、現在のファッションは大量生産大量消費型が主流。数万枚というロットで作るブランドも少なくないでしょう。生産時の予測数量と実質消費数量をピッタリと合致させるのは、非常に困難なことで、「足りなくて売り逃したらもったいないから多めに作ろう」と、考えがちです。

ほかにも、厳しい品質基準も原因の一つです。ほぼ良品のものでも、業者間で品質基準に満 たないとされる不良品が、たくさん返品されています。各段階で日々廃棄は生まれているので、正確な廃棄量を把握することも難しい状況です。 こうしたしくみが妥当で必要だった頃も、確かにありました。それが、どんどん現状に合わなくなってしまい、その歪みの副産物として、現在の過剰なデッドストックがあるといえるのかもしれません。

在庫の苦労を解決したい〜僕が SMASELL を始めた理由 株式会社 WEFABRIK 福屋 剛

起業してまず、自社ブランド「RDF」を立ち上げました。これは、デッドストックとなっている 素材を日本の職人技でどんどん活用していくというものでした。

デッドストックを生かし、廃棄を減らすこと。Made in Japanを再興すること。流通のムダをなく、適正価格で消費者に届けること。それが「RDF」が強く押し出したものでした。

海外で安く大量に作っても、実際はそのうちの数パーセントしか消費されていません。なぜ、わざわざ海外で、大量に作らせてコストカットさせるわりに、結局ムダになるようなことをしているんだろうか? 国内で、マージンを減らし、適量を作って、売り切る− それでいいじゃないか、と思ったのが最初でした。「RDF」は、服ができるまでのムダをできる限りなくすことで、消費者に高品質なアイテムを、これまでの1/2 〜1/3 の価格で提供しています。

タオルは、120年の歴史を持つタオル産地・今治で。毛布は、日本初の毛布が作られ、いまも国産毛布の9割を生産する大阪・泉州地区で。それぞれ老舗メーカーが熟練の技で織り上げています。

「SMASELL」は、自分たちでデッドストックを使って商品を作る、というものではなく、デッドストックをみんなで活用しようというもの。新たなブランドを立ち上げるではなく、こうしたしくみを作ろうと思ったのはなぜですか?

「RDF」はおかげさまで非常に高い評価をいただいて、たくさんのお問い合わせをいただきま した。その中で、一番多かったお問い合わせが、「うちにこういう素材が残っているから、有効活用してほしい」「うちの在庫を安値でいいから買い取ってくれないか?」というものでした。

「RDF」は全て買い取りでやっていましたが、これら全部を買い取ることは立ち上げたばかりの 弊社ではできませんでした。でも、年間 8,000 万トンの廃棄をなくすということを掲げているの に、ご依頼を断るのには矛盾があるようで、葛藤がありました。自分たちが取捨選択して良い と思った素材だけ買い取って、そうじゃないものは野放しする。それは果たして、本来目指して いたところと合致しているのか?と。ならば、僕たちだけでなく、ほかにも必要としている企業 があるはず。必要とする企業と、処分したい企業をオンライン上でマッチングしていくことがで きれば、最終的な廃棄を減らすことができるのでは? と考え、マッチングプラットフォームを 作る構想が生まれました。

「在庫を必要とする企業と、処分したい企業をオンライン上でマッチングしていくことができれば、最終的な廃棄を減らすことができるのでは?と考え、マッチングプラットフォームを作る構想が生まれました。」

在庫の苦労を解決したい〜僕が SMASELL を始めた理由 株式会社 WEFABRIK 福屋 剛

「SMASELL」の今後の展開は?

ありがたいことに初月から売上も伸びていて、良いスタートを切れたと思います。これからはサービスを多言語化して、海外のメーカーさん、バイヤーさんにも使っていただけるようにします。

消費が冷え込む中では、供給過多になりがちですが、販売先の裾野を広げられれば、余剰在庫は減ると思うんです。例えば、国内だとトレンドを過ぎてしまった型落ち品も、海外では気にせず買ってもらえるかもしれません。メーカーさんには、そんな営業プラットフォームとして使ってもらえたらと思っています。また、メーカーさんが積み重ねてきたブランドという価値を守るうえでの使い勝手を改善していきたいです。

例えば最終製品を扱うメーカーさんの中には、「在庫になってしまって困っているけれど、値引き価格で売られるならば、捨てます」という声もあります。それは、ブランドの価値を守るため。価格だけでなく、販路にも細心の注意を払って、ブランドを育てておられます。その場合は、弊社が間に入って個々にサポートすることでいまは解決していますが、ブランドの価値を保ちながらももっと自由にやり取りできるようなしくみも考えていきたいですね。

在庫の苦労を解決したい〜僕が SMASELL を始めた理由 株式会社 WEFABRIK 福屋 剛

日々、新しい素材、服が生まれます。消費者のニーズ、つまりより品質の良いものを安価な値段で、すぐ欲しいという消費者意識を改革するという道もありますが。

極端にいえば、全ての素材・服が受注生産になればこうした問題は起きません。消費者に「待つ」 「過度に品質を要求しない」という意識が芽生えればいいという見方もできます。技術が進歩し、1着から服が作れる時代になってきたので、時間を少しかければ、全て受注生産で提供することも可能ではあるんです。

でも僕自身、「着たいときに欲しい」です。自分ができないことを消費者に押し付けるのも違います。

ファッションは楽しむもの。その前にできることがある、ということですね。

そもそも、在庫を積み重ねる業界構造になっており、これは非常に根深い問題です。廃棄の問題、デッドストックの問題じたいは、我々だけでは解決できないと思っています。

しかし、少しずつできることがあります。将来的に、必要数量と実際に販売できる枚数をピタリと合わせられるような技術も生まれるかもしれません。 僕は、僕のできることをしたいし、業界を良い方向にシフトするきっかけになったらうれしい。

我々「SMASELL」は、これからの環境のため、企業の抱える在庫を廃棄することなく、資源をグローバルにシェアし、人類の未来のために持続可能な循環型社会を創造していきます。

「これからの環境のため、企業の抱える在庫を廃棄することなく、資源をグローバルにシェアし、人類の未来のために持続可能な循環型社会を創造していきます。」

在庫の苦労を解決したい〜僕が SMASELL を始めた理由 株式会社 WEFABRIK 福屋 剛

福屋 剛

大学在籍時、40 ヶ国以上を単独で旅し、ショップスタッフやアパレルのアシスタントバイヤーとしての経験を積んだ後、瀧定大阪に入社。同社にて約 10 年間、繊維製品の企画・生産・販売までを一貫して行い、これらの経験の中で、大量に企画・生産・販売し、残ったものが廃棄処分されていくことに、疑問を感じるようになる。 商社を退職し、無駄の多い繊維ファッション業界の現状を変えるため2015 年 3月に起業する。根源的な廃棄の問題を解決するため、在庫処分したい企業と在庫を必要とする企業をつなぐプラットフォームが必要であると確信し、繊維ファッション業界のB2BフリマサイトSMASELL/スマセルを立ち上げる。

会社概要

社名  : 株式会社ウィファブリック(WEFABRIK.inc)

代表  : 代表取締役社長 福屋 剛

所在地 : 大阪府大阪市北区京町堀1丁目14番地24号 タツト靭公園ビル7階

事業内容: B2BフリマサイトSMASELL(スマセル)事業、RDF事業、ブランディングコンサルティング事業他

URL   : https://www.wefabrik.jp/

SMASELL(スマセル)に問い合わせる

在庫の苦労を解決したい〜僕が SMASELL を始めた理由 株式会社 WEFABRIK 福屋 剛

No More Waste!

CTA-IMAGE 年間 8000 万トンの繊維製品が廃棄処分されている事実を知り、企業の抱える在庫を廃棄ではなくグローバルにシェアすることで、人類の未来のために持続可能な循環型社会を創造したい。そんな想いから、「在庫を必要とする企業」と「処分したい企業」のマッチングプラットフォームとして、スマセルは誕生しました。

●「ガイアの夜明け」「ルソンの壺」で放映
● 2018年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞日経産業新聞賞
● 循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰受賞

サプライヤー登録はこちら

コラムカテゴリの最新記事